第2章 君が欲しい(石川/R18)
それから約一時間経ち、二次会に行くことになり予約していたお店に向かうことになった。
「彩花ちゃん、二次会に来て大丈夫なの?たしか、明日は学校だっていってなかった?」
『あ、はい。でも、大丈夫ですよ?学校って言っても養成所なので…』
そう、あたしは先輩に近づきたくて声優になるために養成所に通っている。
「え?養成所…?それって…」
『えっと、あたし声優になりたいんです。それに、また先輩と一緒にお芝居したいなって思って……』
あたしは少し恥ずかしくなり先輩から目をそらした。
「嬉しいな…また、彩花ちゃんと演技ができるかもしれないんだね?」
そう言ってくしゃっと笑う界人先輩にあたしは見とれてしまった。
「あ、そうだ!二次会が終わったらうちに来ない?もう、使わない教本とか、台本があるから彩花ちゃんにあげるよ。」
『え?でも、それって先輩の思い出の品……ですよね?そんな大事なものもらえないです!』
あたしがそう言うとさらに先輩はクスッと笑って
「思い出の品だからこそ君にもらって欲しいんだよ。」
とあたしの頭を優しく撫でながら言ったんだ。
『先輩がそう言うなら…お言葉に甘えて…』
そうしてあたしは一人暮らしをする先輩のマンションに向かう事になった。
それから一時間が経ち、あたしは先輩のマンションに来ていた。
先輩の部屋は落ち着いた色で統一されていた。
「ソファーに座って待ってて?今、教本と台本、持ってくるから。」
先輩はそう言うと荷物を持って、ひとつの部屋の中へと入っていった。
「彩花ちゃん、はい、これが教本で台本はたくさんあるから好きなのを選んでいいよ。」
『あ、ありがとうございます……でも、本当にいいんですか?もらっても……』
あたしは先輩を見つめながらそう訪ねた。
「当たり前だよ。俺は彩花ちゃんにもらって欲しいんだよ?だから、気にしないで?」
『はい、じゃあ、台本はこれとこれをいただいてもいいですか?』
あたしが手に取ったのはイナズマイレブンと翠星のガルガンディアの台本。
「もちろん。それを使ってたくさん、アフレコの練習してね?」
あぁ、あたしはこの笑顔に惹かれたんだった。周りをいつも明るくしてくれるこの眩しい笑顔に……