第14章 向き合う気持ちと少女
「…わかった。頼むとしよう。」
ルルは少しだけ笑って、ありがとうございます、と言った。
「ルルは、10年前に俺に会ったことがあると母親から聞いたんだが、俺のことは覚えていないのか?」
「…10年前…そうですね、当時の写真等があれば思い出せるかと思うのですが。」
「団長、顔あんまり変わってないよね!髪下ろしてると童顔!」
「……。」
シャルナークがまたしても口を挟むと、クロロはむっとしてそちらを睨んだ。
「写真…情報サイトにあったか?」
「あー、保存したかも?これかな?」
パソコンの画面を覗くと、少し幼いクロロの写真があった。
「…やはりわかりません。」
パクノダに見てもらっても結果は同じだった。
「ただ、前回のように真っ白じゃないわ。まだルルの中にちゃんとある記憶。
だけど、出てこないのならこれは精神的な負荷によるもの。」
「!」
「団長のほうは真っ白ね。何も無いわ。」
「可能性としては、念の本か。」
「でも団長は記憶喪失にならなかったし、契約破棄したんだよね?」
「そうなるな。念で記憶を封じられ、完全に無くす。
パクとはまた違う能力なのか…。」
記述を読み返しながら考えふけるクロロ。
「ルルは、あのルリアという女の念能力を知っているか?」
「念?」
「やはり知らないか。気にしなくていい。それより、記憶がまだ残ってるみたいだから、何か思い出したことがあるならすぐに言え。」
「は、はい…。」
頷きながら返事をする。
しかし、自分のこと、家族のことなのに、まるで蚊帳の外にいるかのような疎外感。
前から親しみが会った者たちがいきなり遠くにいるかのようなベール。
ルルは彼らの話し合いを必死に追ったが、やはりよくわからなかった。