第14章 向き合う気持ちと少女
翌朝、朝食を取りに居間に行くと、ヒソカの姿が珍しくあった。
「団長、これ探してたんでしょう?昨日渡しそびれちゃったから、はい。」
猫なで声でそう言うと、薄い冊子を渡してきた。
≪夢想叶書についての記述2≫と表紙に書いてある。
「!これは…。」
「あの本の研究の第一人者から盗んだんだよ。ルルの戻り方、書いてあるといいねぇ?」
いつも以上に眩しい笑顔で渡されたが、あまり期待は出来なかった。
彼女を戻すつもりもそもそもなかった。このままの、つまり元に戻った彼女が、今まで過ごしてきた環境を思い出すかどうか、そう考えている。
「念で記憶を吸いこまれたのなら、ルルの中にあの日々の記憶は戻らないんじゃないか?」
「除念をしてみればいいんじゃないかな。」
シャルナークが口を挟んできた。
確かに、とも思ったが、彼女が今、念にかかっているという保証もない。
「記憶が混乱して、その一部だけ忘れているという可能性もある。」
ルルは自分の話をしていることは理解したが、内容は全くわからなかった。
「わたくしに関することでしたら全てお話致します。どうか、協力させてください。」
クロロの腕を引いてそう言った。
真剣な表情は、昨日までの無表情が少しずつ解されていることを確認出来る。