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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第17章 記憶と私達


自分が捕まれば、ルルも捕まる。
彼女はまた閉じ込められ、哀れな一生を送る。
愛する者を二度も助けられなかった。
情けない。
胸元を狙っている、いくら自分が生きられても彼女を助けられないのなら、いっそ……。

そう思っていたはずなのに、いつまでも痛みも苦しみも来なかった。

「!!」
「…ルル…!」
クロロを庇ったルルは、ぎりぎり急所をかわし、肩から血を大量に流していた。
敵も自身も動揺してしまったが、向こうが唖然としている間に、落ちていたオブジェを手に入れる。
それは不思議なことに持った瞬間、手のひらに溶け、さっと体内に流れた。
今までの戦いやその術が走馬灯のように脳に流れる。
「…くっ!」
ルリアの後ろに一瞬で回り込み、彼女が手にしているナイフを奪い返し、彼女の喉にあてがった。
「ルルを今すぐ治療しろ。」
低音で囁き、旅団の頭のいつもの威厳、殺気、迫力。
それらにあてられてふらふらしてくる。
恐怖で思考回路が働かない。
何故こいつが賞金首なのか。
一瞬にしてその報酬金額とこの空気が比例していった。
否、あの金額でも、こいつを狙うなんて冗談じゃないとすら思える。
「…あっ…!は…早く、専属の医師を…っ!」
途切れ途切れに内線にそう伝えた女を漸く解放する。
さっきまでの恐ろしい空気は既になくなっており、呼吸を整えられる環境ではあった。
ソファーに座ると、荒い呼吸を徐々に落ち着かせる。
「ルル、大丈夫か!?すぐに医者が来る。安心しろ。」
ルルの血だらけの手を握り締め、必死に名前を呼びかけ、安心させる。
「無茶させたな。すまない。」
うなだれて、困ったように微笑む。
意識が朦朧とし、誰がそこにいるかだんだんわからなくなる。



目をつむり、辛い、痛い、苦しい、と思った。
痛みが遠のき、やがて深い闇がそこで待ち受けていた。
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