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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第14章 向き合う気持ちと少女


部屋のベッドをルルに明け渡すと、クロロは部屋の片隅にある古書だらけのソファーで寝ることにした。
ルルがそれに気付き、
「わたくしがそちらで寝ます。」
と言うが、断った。
ルルがしゅんと普段以上に表情をなくし、少し悪い気がした。
「俺は平気だ。ゆっくり寝ろ。」
と促すも、元々の部屋主様ですから、と引かなかった。
「今までどうされてたのですか?」
罪悪感で死にそうだという顔をルルがした。
もし記憶のない間の自分がクロロに対してとんでもない無礼をしていたのなら早々にこの部屋を立ち去るべきだとも覚悟もしている表情だった。
「…一緒に寝てた。お前がそうして欲しいって言ったから。」
事実を言っただけなのに、なんだか心苦しくなる。
それを聞いたルルが赤面した。
「も、申し訳ありません!そんな失礼なことを…!」
そして何故か慌てて謝る。
不思議だが、自然に彼女の表情が出てきた。
本来、このくらい表情を出す子供だったのだろう。
短い間で色々な事件が彼女に重なり、そして表情を無くすことで自分を偽ろうとしていたのだろう。
辛いことから目をそらすために。
あの実家がどんなに辛かったのだろうか。
きっともっとちゃんとしたところで伸び伸びと過ごすことが出来ていたなら、彼女は幼児のような、純真無垢な表情を自分に向けていたのだろう。
クロロはそう思わずにはいられなかった。
なんとなく、彼女は彼女のままなんだとまた思えたら、自然と聞くことが出来た。
「なあ、一緒に寝ていいか?」
ルルはまた赤面すると、こくんと頷いた。
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