第13章 迎賓と少女
「お前の居場所は、ちゃんと俺が作る。」
ルルの肩を抱いてそう言った。
「散々誘拐されといてよく言うよね。」
「余計な口出しするな。」
クロロがいつも通りになったことに、シャルナークとマチは一安心したように少しだけ柔らかく二人を見守った。
無事ホームにルルが戻ると、最初に大声で騒いだのはウボォーギンだった。
「戻ってきたじゃねえか!!」
「あ?まだここに居座る気ね?」
嫌みっぽくフェイタンがむっとして言う。
「で、元凶も一緒にお帰りか。」
「ごめんねぇ?」
全く悪気なくヒソカが笑いながら言った。
「ああ、またこいつのことよろしくな。」
「皆様、初めまして。お世話になっていたということですが、覚えておりません。
恩知らずなのをどうかお許しくださいませ。」
ルルはそう挨拶すると、また丁寧にお辞儀した。
「へ?」
団員のほぼ全員が同じ言葉を口にした。
「おい、そいつ…声が…。」
「覚えてないぃ?」
まずノブナガが、先程疑問符を持ち上げたほぼ全員分の疑問部分を言い、横にいたフィンクスがそれを打ち消した。
「マジかよ。あんなに毎日毎日いちゃつきやがって覚えてないって。」
「それを言うなっつうの!!で、声出るようになったけどこの有り様ってか?」
フィンクスとノブナガが端で言い争いながら、クロロに全ての説明を求める。
「この本にルルの名前があった。願いと代償が必要なんだが、それを消すと、本を書く前の状態に戻る。そういうルールだ。」
「ってことは…元のルルに戻った…?」
「そうなるな。」
淡々と説明するクロロだったが、悪魔で平静を装うっている状態だ。
今後、彼女が以前のように戻るのは極めて難しい。
一通りの説明を終えると、ルルが疲れているのを察して、クロロは一緒に部屋まで行った。
「団長、大丈夫かしら。」
パクノダが不安そうに聞いた。
「まあ、そのうちなんとかなるって。ルルちゃん戻ってきたらいなかった時より、多少は元気になったよ?ね?」
シャルナークは言うと、同意を求めるのにちらっとマチを見た。
「…まあね。」