第13章 迎賓と少女
もっと普通の恋愛ならば、ここで怒って取り戻すのだろうと思っていた。
もしくは指図した自分に激しい怒りを覚え、襲ってくることも容易に想像できる。
彼を奮起させる台詞ならいくらでも考えてきたが、このルートだけは完全に何も考えていない。
予想以上の溺愛。怖いくらいの依存。抜け出せない中毒性。
すっかりこの少女の存在に翻弄され、溺れている。
「…残念。僕は君と戦うまで君を殺さないよ。壊れた玩具に興味ないね。」
そう言うと電話を切った。
ルルを殺そうかとも思ったが、いずれまたこの女を道具として使える時が来るだろう。
もっと溺れさせるのもいいかもしれない。
「ルルちゃん、僕ヒソカっていうんだ。」
「…はい…。」
「さっき電話で話した人、君のこと大事にしてたんだよここしばらく。お礼を言ってくれないかな?」
「そうでしたか…。先ほどの電話で失礼なことを申し上げてしまいました…。」
「落ち込むことないよ。明日、昨日泊ったホテルにいるみたいだから、行ってあげようねぇ。」
ヒソカに頭を撫でられ、ルルはこくんと頷いた。
ルルは元に戻ったのだが、表情が全くなかった。まるで人形のような。
さぞ、カヅキ家で酷い育て方をされたのかが窺えた。
まあ、関係ないけど。とヒソカは一人で納得し、明日クロロがどんな顔をして迎えてくれるかを楽しみにした。