第9章 真実と少女
ルルは甘い匂いに吊られ、ふっとクロロの手を離し、クロロの足をも止めた。
「ポップコーンだ。食べるか?」
ルルは目を輝かせてこくこく頷いた。
もしゃもしゃと何粒か食べると、美味しそうに笑う。
両手を使っているので、クロロと手を繋げなかった。
少し離れて歩いていると、いきなり突風が吹く。
砂が巻き上がり、クロロも後ろにいたノブナガ、シャルナークも目を反射的に伏せる。
大通りの客足が突風の通ったところだけ吹き飛ばされ、開けている。
「シャル!ノブナガ!ルルが連れて行かれた!追うぞ!」
壁にオーラを集中させ、一気にビルを横に走り抜け、そのまま登って屋根に出る。
街を見渡せるようになると、突風が一直線に隣町に向かっていくのが見える。
「隣町だ。何があるんだ?」
「…カヅキ家の大豪邸、かな。」
沈黙と一緒に、風がふわっと流れた。
「行くしかないな。」
「!?団長!もっと日を置いてからって…!」
「向こうが宣戦布告してきたんだ、乗るしかないだろう。またルルを閉鎖空間に閉じ込める前に…!」
「おいおい、マジかよ。」
疾走して突風を追うクロロを後ろから二人が追いかける。
突風を出している張本人はすぐに見つかった。
派手な道化師のような衣装とメイク、一瞬嫌なアイツの顔が浮かんだが、レベルの違いにすぐに我に返った。
「おい、貴様、手に持ってる奴を返してもらおうか。」
殺気をビンビンに立たせてクロロが低い声で唸る。