第9章 真実と少女
漸くホテルが取れた。
ルルがカヅキ家との繋がりを持っているとわかって数日後だ。
祭りが近いらしく、観光客で賑わう為、ホテルの予約も一苦労だった。
最も、祭りの次の日を予約したかったのだが。
電話をかけるたびにワンコール門前払いの状況だ。
旅立つのは二日後。雑誌の端に大分ドッグイヤーがついたところで、買い出しついでに街に出た。
「はぐれるなよ。食べたい物があったら言え。」
と、外出の都度の恒例の注意点を言われる。今回の問題点は、前回みたいにルルが狙われている可能性だ。
本当は二人でお出掛けをしたかったクロロだったが、致し方なく、5メートル離れたところに、ノブナガとシャルナーク(暇そうだったので強制連行)をつける。
小さいルルの手を引いて歩く姿は、恋人というより兄妹か親子だった。
「下着じゃないルルちゃん、久しぶりに見たな。」
と出掛ける早々に口を滑らし、殺されかけたシャルナークは至って静かだった。
「何が悲しくて、男とデートしてんだ俺たち。」
「何が悲しくて、ラブラブな二人見ながら歩いてんだろうね。」
そんな二人に構いもせず、クロロの顔はルルを見ては緩んでいた。
「団長、楽しそうだね。」
「初恋が幼女っていうのもなあ。」
「本人は認めてないよ。」
シャルナークは悪戯っぽく笑った。
「そりゃあそうだろう。賞金首が恋愛沙汰なんて、悔しいだろうに。」
「プライドだけは高いんだから。かわいそうなのはルルXちゃんだよ。」
「それは、な。」
「でも始終一緒にいないと落ち着かないとか、もう重症だって気づいたほうがいいよね。」
二人は、忠誠を誓った頭の幸せと、鈍感さに呆れつつもどこか嬉しかった。
いつも気を張り詰め、死を覚悟している哀れな賞金首に、一瞬でも多く笑ってもらいたい。
そう願わずにはいられない。