第2章 豪邸と少女
後ろを追ってきたウボォーギンにどやされ、クロロはふっと笑って走り出した。
倉庫の宝は全部任せてある、屋敷の上の階から感じる気配はまだある。
なんとなく、興味本位だった。ほとんど無意識と言ってもいい。
この仕事は、本来、自分は下見をし、あとはすべて部下に任せておくつもりだった。
盗賊の勘、というほどでもないが、何故かその正体を確かめておきたかった。
通路を抜けると、階段がある大きなエントランスに出た。
またしても成金趣味な胸糞悪いシャンデリアがお出迎え。
大きなエントランスだというのに、手を伸ばせばすぐそこにあるんじゃないかというくらい大きな物だった。
女神をかたどった蝋人形が大きな水晶の塊を支えているかのようなデザインである。
大理石にワインレッドのカーペットを引いて、若干の上品さを演出している階段を上ると、大きな扉の前に立った。
気配はこの奥から感じる。
扉には案の定鍵がかかっていた。
サッとベンズナイフを取り出すと、そのまま扉の錠前部分に思いきり突き刺した。
そのまま念を込めると、鍵は真っ二つに裂け、床に落ちた。
扉を開けると、長い通路、やはりワインレッドのカーペットが敷かれた木材と大理石で出来た大きな回廊だ。
ところどころに花が生けてあり、上品なのか気色悪い趣味なのかさっぱり理解が出来ない。
通路を抜けると、今までとは格が二つ程上な念能力者の警備が3人並んでいた。
「お前が下で暴れていた奴か?」
「…」
「おい、黙ってんじゃねえよ、この屋敷に入ってきてただで…」
「寡黙な男がモテるぞ。」
そう言い残した時には、もうその男たちには言葉は聞こえなかっただろう。
思ったより警備が減っている。部屋の中から気配はない。
どうやら格下の者はすべて倉庫の財宝の警備につかされたのだろう。
しかし、この好奇心の塊には、それでも警備をつけさせていた。
なんなのだろうか。
久々に楽しみが出来たのだ、堪能しようではないか。
もしこの好奇心に適わないモノであったら…。