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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第2章 豪邸と少女


それは、ただ気まぐれに視界に入った豪邸だった。
悪趣味な成金趣味の豪邸だった。
壁に金の装飾があり、大理石で固められた柱は夜の照明を浴びて静かに光っていた。
ガラスが威張っている大きな窓は、まるで中を筒抜けに出来るようにわざとそうしてある 鳥かごを彷彿させる。
ただ、その中で奇妙な気配があった。それだけが気がかりだ。
まるで、宝とそのある気配を鳥かごに納めている、そういう例えがよく似あう屋敷だ。
普通の一般人のようだが、その豪邸には、念能力者の気配しか感じ取られない。
その中に、たった一つ、一般人の気配があるのだ。
「団長?」
不意に、隣にいたシャルナークに呼ばれて、今し方自分が真剣に何かを考えていたことに気づく。
「いや、なんでもない。」
そうだ、どうせ今日のターゲットはこの屋敷である。
この屋敷を襲えば、その正体もわかるだろう。ただの一般人なら興味はない。
しかし、やたら多い警備が気になる。しかも全員念の使い手だ。

警備設備はすでに支配してある。
照明が落ち、それを合図に、鳥かごの入り口である巨大な窓ガラスを一気に割る。
防弾といえど、一息で割るにはあまりにも簡単な窓ガラスだった。
強度を誇るなんとやら、その宣伝はどうなのだろうか、などと他人事のようにふと思った。
中に入ると、騒然と警備員が一気にこちらに動き出した。
外からの光が、あまりにも大きな窓から入り込んでくる。
こちらに向かってきた巨体の警備員たちは、大声をあげてかかってくる。
しかし、次の瞬間、闇の中で静寂。鮮血の匂いが鼻をかすめる。
この廊下を見張っていたのはこのくらいの人数だろう。
あとは他の部屋、他の階、といったところだろうか。
そろそろこちらの騒ぎを聞きつけて襲ってくるであろう。
「ここの地下が倉庫みたいだよ。」
「先に行ってシズクと合流し、全部盗んでこい。」
「了解。」
軽いいつもの命令でのやりとりを交わし、クロロとシャルナークは別々の道へ走った。
「なんだお前たちは!」
早速叫びながら真っ向勝負を挑んでくる警備員に出会う。
しかし、すぐに息絶えてしまった。
「おいー団長、あんま全員殺すなよ、俺たちの楽しみがなくなるだろー!」
「すまんな、あとは任せたぞ。」
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