第7章 満月の夜と少女 裏
「俺は今まで自分の為に生きる術を身につけてきた。
闘うため、情報を得る為。死を常に覚悟し、いつ死んでもいいように、それだけを考えてきた。
失うものはない、恐怖もない。だが、たった今、俺はお前を失うことに恐怖した。
愛情か同情かもわからない。
まだ、依存という言葉しか出てこない。
いずれ、お前に教わるような感情かもしれない。」
一言一言、自分に確認するように俺は言った。
潤んだ瞳のルルはしばらく言葉を聞き、整理していく。
ゆっくり。
俺は言いながらも、何一つとして伝わっていないだろうと覚悟していた。
ルルは身体を反転させ、俺に向き合い、腕の中で抱きしめ返してくれた。
自然に。媚びることもなく、強すぎず、弱すぎず。
なんとなくではあるが、想いが伝わったのだろうか。
ルルの行動に驚きはあったがやはり安堵のほうが大きかった。
依存しあう関係、そして、正反対な内面。そんなのも悪くないかもしれない。