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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第7章 満月の夜と少女 裏


その言葉は、鉛のようにずっしり重く、水に沈まるかのように、ゆっくり俺の心に落ちた。

消える?

俺は自分でも気付かないうちに彼女を自分の身を腕にすっぽり収め、抱き締めた。
「俺にはお前が必要だ。そんなやつより、ずっと必要だ…!」
例え数日を一緒に過ごしただけであっても、その気持ちは確実。
初めて彼女と接触したときからそれは思っていたことだった。ただ、認めたくない。
でも、今日、今、この瞬間、気付いてしまった。認めてしまった。

依存しているのは、自分。

ルルは俺から離れて生きることは到底出来ない。
そんなことはわかっている。
それを拘束に使うなど、考えたくはない。
間違いなく、依存している。
情けないながらも、この赤子のように純真無垢な彼女に心底惹かれていた。
自分とは全く正反対の存在だからだろうか。
光り輝くその存在は、眩しすぎて直接見ることが叶わない、まるで太陽だった。
抱き締めているルルの香りがふわっとした。くらくらして目の前が真っ白になり、ようやく我に返った。
この気持ちの伝え方がわからない。
仮に自分がまともに生きて、まともな愛情を受けていたならば、辛うじて言葉で伝えられただろう。
例え、相手が鳥籠の中の鳥であっても。
しかし、俺はそうではない。
人間らしさ、というものを持ち合わせたことがない。
あったとしても遠い昔。覚えているわけでもなく。
表情も感情も全て、過去に置いてきた。
どうしたらいいだろうか。
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