第5章 買い物と少女
「はい、どうぞ。」
と色とりどりなひんやりした丸いアイスクリームの玉がコーンの上に二つ。
上には生クリームとチョコレートがトッピングされており、ピンク色のプラスチックのスプーンが刺さっていた。
初めて食べる一口は、物凄い冷たく、あまりの冷たさにびっくりして、顔をきょとんとさせてしまった。
しかし、口に広がる甘い味がなんとも言えず、長い睫毛をはためかせ、きらきらするような表情で食べ続けた。
「初めて食べたの?」
とシャルナークが尋ねると、こくりとうなずいた。
どんな環境で育ったのか、ふと昨日少しだけ調べたルルのデータを思い出しつつ比べてみたが、
まだきちんとした情報を掴んでいないことを考えると無駄なのですぐにやめた。
マチは、嬉しそうに幸せそうにアイスクリームを頬張るルルを不思議そうに見つめていた。
「団長がねえ」、と誰にも聞こえないような声で呟いた。
二つのアイスの玉が丁度半分程の大きさになった時、ルルのスプーンの動きが止まる。
「本当に小食なんだねー。」
残ったアイスはシャルナークが3口程で平らげ、三人は席を立ってショッピングモールの洋服がある2階へ向かう。
初めての動く階段にびっくりしながら乗ったルルをシャルナークは笑顔で支えた。
「エスカレーターだよ。」
と、クロロに命令されたのか、丁寧に単語を教えていく。
2階に上がると、ピンクや白の蛍光灯がきらきらと光っており、ウィンドウにはその店独特のレイアウトがしてあった。
「ルルちゃんは普段どんな洋服着てたの?」
「……?」
「着てみたいのとかある?」
ルルは全くなんの会話をしているのかわからないという表情をして、マチとシャルナークの顔を交互で見る。
「似合いそうなの適当に買っておけば?」
「団長、どんなのが趣味かな。」
「色々な種類買っておいて後は団長に丸投げ、それで大丈夫だと思うよ。」
確かに、とマチが頷く。