第5章 買い物と少女
「団長…。」
「一晩で…。」
と心の中で呟いていたが、ルルは二人がどうしたのかわからず、疑問符が出てくるのではないかというくらいに
目を丸くして二人の顔を交互に見た。
ルルはしばらく考え込んで、二人が何故そんな気まずい空気を流しているのか、考え、一つ言い忘れいていたことを思い出した。
「あと、えっと、道具の使い方、教えてもらった。」
食べる時の、と口パクで付け加えたが、ますます車内の空気が悪くなった。
「転職、する?」
「冗談?」
「半分、本気かも。」
ルルの見た目が実年齢より幼く見える所為か、余計にいかがわしい想像をしてしまい、二人は首を横に振りながら言った。
ショッピングモールに到着すると、ルルははしゃぎながら車から降りた。
きらきらと目を輝かせ、手足をばたつかせてつるつると磨かれた床の上を走っていく。
声が出せない為、身振り手振りで、マチとシャルナークを急かした。
少し距離が空いてしまった為、シャルナークがパーカーのフードを掴んで、
「はぐれると団長に怒られるよ。」
と笑顔で言った。
ルルはそれを見て、ごめんなさい、と頭を下げて謝って、二人の間に入って周りを見渡すようになる。
「で、団長何買えって?」
「ルルが気に入ったの全部買っていいって。カード渡された。」
と手に持っている一枚のカードをぺらぺらとさせて見せた。
「あと、なんでも食べたいって言うけど、あげてもいいけどすぐ腹いっぱいになるから残りを食べろ、って。」
「なんで俺たちそんな残飯処理みたいなことになってるの?」
という会話をしていると、ルルは早速カラフルなパラソルと、柱に絡まった植物が独特な不思議な店の前に立ち止まった。
じーっと見ているルルを見ている限り、今、好奇心が全部その店に集中している。
「アイスクリームだよ、食べる?」
とシャルナークが聞いてみた。
彼女は、ぶんぶんという音がするのではないかというくらい力いっぱいうなずいて返事をした。