第4章 躾と少女
「次はスープだな。この、スプーンを使って…」
説明しながら食べるところを見せる。
ふと、子供が出来た時もこういう風に教えるのだろうか…、と考えたこともないことを考えてしまった。
ルルも真似て食べてみるが、液体の為、唇を伝ってどうしても垂れてしまう。
「指で拭くな、って。」
クロロがルルの行動を制し、後ろから唇を近くにあったナプキンで拭ってやる。
料理が半分終わったところで、ルルの様子がおかしかった。
段々食べるペースが落ちてきて、時々苦しそうにため息をついていた。
「どうした?」
料理は一人分の注文で、正直かなり量は少ない。
一人分の料理を半分ずつ分け合い、なおかつその半分の量しか食べていないのに、
苦しそうに並べられた料理を見つめていた。
「ああ、そうか。お前今までパン2切れしか食べてなかったんだったな。」
そういえば、と思いだした先ほどの絵。
胃が普通の食事を取っていた人間に比べてかなり小さいのであろう。
一通りの食器を覚えさせたし、ルルを膝から下ろしてやり、自分は食事を続けた。
ただ、数々の初めて口にする味はかなり新鮮だったのであろう。
自分が食べられなかった物を物欲しそうに見る。
「食うか?」と冗談で聞くと、首を横に振った。
ようやくクロロが食べ終えると、扉がノックされた。
ホテルマンがもう一台ワゴンを押して入ってくる。上には装飾された銀の食器、彩り豊かなガラスの器。
そして甘い香りの温かい白いポットと二つのカップ。
食事をした後の食器を片づけ、それらが並べられるのをルルはじっと見ていた。
「プリン、頼んだんだ。食べるか?」
クロロの雰囲気が少し柔らかくなった。
ルルはもう一度クロロの膝の上に乗り、何が出てくるのかとテーブルを見つめる。