第4章 躾と少女
ガラスの器の上には、黄色いプリンと、様々な果物が盛られていた。
クロロがまず一口手本として食べ、ルルも真似して食べた。
甘い香りが鼻をかすめ、ふわっと広がり、のど越しがつるんとした、新しい出会いだった。
美味しいだろう、と言うと、首を何回も縦に振って美味しいと答えた。
「甘いだろう。」
甘い、という言葉を自分の頭で確認し、ルルはうなずいた。
半分食べたところで、やはり項垂れてしまったルル。
クロロは彼女が残した半分と、自分の為に頼んでおいた一個を平らげ、満足げに、ルルが腰かけているソファーの隣に腰をおろし、
「食事の後は、ごちそうさま。」
と丁寧に言葉を教えた。
ルルは口パクで、ごちそうさま、と言った。
それを見てよしよしと頭をなでた。
ホテルマンにワゴンを片付けさせたところで、クロロは楽しみにしていた本日の戦利品を広げて、
ソファーに腰かけ、気になった物から読み始めた。
ルルは眠たそうに首をこくりこくりとさせていた。
「眠たいんなら寝ろよ、俺のことは気にしなくていいから。」
本を片手に、ベッドに入るようにクロロは彼女に促した。
ルルはハッとし、首を横に振り、クロロの横のスペースに腰掛けて、本と彼の顔を交互に見た。
そのまま1時間程、彼女はクロロの横でうとうとしながらいたのだが、浅く夢の中に出入りを繰り返していた。
自分の腕に重みを感じ、クロロはふと横を見ると、ルルは静かに眠っていた。声をかけるとすぐに起きたが、
やはりもう既に起きているにはつらすぎるようだった。
「ここで寝ると風邪ひくだろう。」
しかし、ルルは頑なにその場を動こうとしない。
少し考え、クロロはベッドに入り、近くのランプをつけ、そこで本を読み始めた。
それを見てからルルはようやく、うとうとする頭と瞼を叱咤しながら、ベッドにかけてある掛け布団をはがし、
真っ白なシーツの海へと沈み、すぐに寝息を立てた。
「…猫かよ…。」
ルルの小さな寝息を確認すると、クロロは小さくつぶやいた。