第3章 ~聖川真斗の場合~
「そんなの、渡したモン勝ちっしょ!
気持ちこもったプレゼント貰って嫌な思いする人なんて居ないと思うけどなー…」
「…そういうものなのかな…?」
「だって、後悔したくないんでしょ?」
愛結美の言葉に私は頷くことしか出来なかった。
「よし、そうと決まったらそれも買いに行こ!
いい物選んで、唯のこと気にしてもらわなきゃね!」
—そして、いよいよ聖川さんの誕生日がやってきた。
けれど、なかなか出逢えず、結局用意したプレゼントを持ち歩いたまま日も落ちてしまった。
今日は休みの日で、寮の部屋に行っても聖川さんは居なかった。
何処を探したら良いのかも分からず、学園の門の前に立ち尽くした。
「〜♪」
寂しさを紛らわすように、パートナーの子が作ってくれた歌を口ずさんだ。
「北橋…?
こんな所で一体何をしているんだ?」
聖川さんが心配そうな顔で歩いてきた。
歌がまるで聖川さんの元へ届いたみたいなタイミングでなんだか嬉しくなった。
「あ、えっと…。
お誕生日、おめでとうございますっ!」
愛結美に相談して買ったプレゼントを渡すと、聖川さんは一瞬驚いたような顔をして、やがて
「ありがとう。」
と、落ち着いた笑みで受け取ってくれた。
「知っていたのか?」
「はい、前に一度音也くんから聞いたんです!」
「…そうか。早速、中を開けても良いか?」
「はい!」
聖川さんは、丁寧にラッピングを外して中身を出した。