第3章 ~聖川真斗の場合~
「…これは…!」
私がプレゼントしたのは和風なデザインのブックカバーとシンプルな腕時計。
聖川さんは、
「ありがとう。本当に嬉しい…。
大切に使わせてもらう。」
と、大人びた笑顔で言った。
「いえ、喜んでもらえて私も嬉しいです!」
「では、俺はそろそろ行く。
寒いから、風邪を引かぬように気をつけるのだぞ。
本当に、ありがとう。」
「はい!」
私は満遍の笑みで聖川さんの背中を見送った。
顔が赤い気がするけど、これはきっと寒さのせいだけじゃない。
聖川さんとのさっきまでの会話がずっと脳内で繰り返し再生されては自然とニヤけてしまう。
好きな人の誕生日を祝えるってこんなにも幸せなことなんだって初めて知ることが出来た。
私の片想いの色は…優しい雪の降る冬の夜空のような青でしたー。