• テキストサイズ

七色の片想い【うたの☆プリンスさまっ♪】

第6章 ~神宮寺レンの場合~


「唯ーっ!」

夢中で神宮寺さんを見ていると、友人でルームメイトの愛結美がこちらに駆け寄って来た。

「また見てたの…?」

愛結美は私の前まで着くと、神宮寺さんの方に視線を流して尋ねた。

「そりゃあ…気になるもん…。」

私も神宮寺さんから目を離さずに答える。

「そっか…。
ねぇ、唯はあの輪に入りたいとは思わないの?」

女子生徒を見ていると、本当に皆幸せそうな顔をしている。

だけど、私はあの輪に入れるだけの自信も実力も無い。

「自信持てばいいのに…。」

「え…っ?」

私の心を見透かすような発言に驚き、愛結美を見た。

「恋愛禁止だけどさ、特別にならなってもいいんじゃない?
“恋人”と“特別”はなんかちょっと違う気がする…。
でも、どっちも距離は近いでしょ?
恋人になれないなら、特別を目指せばいいんじゃない?」

「…特別…。」

「そう!
そのためには、まず自信を持って声を掛けるところからだよ!」

愛結美に背中を押され、神宮寺さんの前まで来た。

神宮寺さんはサックスを吹いているところで、周りの女子生徒はその姿と音色にうっとりしていた。

『どうすればいいの?』

と、愛結美に目で訴えたけれど知らんぷりをされてしまう。

やがて神宮寺さんの演奏が終わり、また黄色い歓声に包まれていた。

「ありがとう、レディ!」

不安になって、もう一度愛結美を見た。

しかし、愛結美は『頑張って』と、大きく頷くだけだった。


特別になるんだよね…?


私は一度深く呼吸を整えてから

「あの…っ」

と口を開いた。

「…何?どうしたんだい?」

「…とても素敵でした!」




/ 32ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp