第6章 ~神宮寺レンの場合~
「キャー!カッコイイーっ!!」
「神宮様ーっ!こっち向いてーっ!!」
朝から女子生徒の黄色い歓声が、廊下中に響き渡っていた。
「今日も美しいね、レディ…。」
その中心にはいつも神宮寺レンさんが居る。
神宮寺さんは、まるで絵本の世界から出てきたかのような美しい顔立ちで、私の片想いの相手でもある。
しかし、私は女子生徒の輪の中に入ったことは一度も無い。
私は、神宮寺さんを囲む女子生徒のようにキラキラしていてる訳では無いし、特別目立つことも無い。
だから、あの輪の中に行ったところで神宮寺さんに見てもらえる自信が無いのだ。
それに、周りから浮いている目で見られてしまうのが怖い…。
私は今日も少し離れたところから、神宮寺さんを見ていた。