第5章 その声はまるで
先代火影の使いだと言って、面をつけたふたりの忍が迎えにきた時、牡丹は様子を伺うように、隣に立つカカシを見た。カカシはやれやれというようにため息を吐いて、眉尻を下げる。
「お前たち、俺の知らない案件どれだけ持ってるの…暗殺されないように気をつけてね…」
心底気遣った様子の口調で只ならない言葉をかけたカカシに、面の片方はやれやれと両手を上げ、もう片方は腕を組んでため息を吐いた。
「先輩、その言葉、そっくりそのままお返ししますよ」
「六代目こそ、身の回りに気をつけられよ」
お互いの呆れ返った態度とは裏腹な労りの応酬に、牡丹はクスクスと笑ってしまう。仲良しなんですねと聞いて見ると、カカシは直属の部下だと教えてくれた。
「男の方がテンゾウ、女の方がユリ。面を着けてる時はそう呼んで」
カカシの紹介に、彼らは頭を下げた。名前を聞いたのは初めてだが、彼らには会ったことがあるはずだ。それを告げると、テンゾウはえっと驚き、ユリはひとつ頷いた。そしてカカシは、ご明察と笑った。
その笑顔が嬉しくて、牡丹は顔が熱くなり、俯いた。