第4章 副章
六代目火影であるカカシから、護衛と調査の依頼を受けたのは、ある日の朝だった。可能な限り隠密行動を、とのことだったので、遠慮もなく暗部の部下を連れて行く。
朝から牡丹を連れ歩くカカシの周囲をうろうろと見て回るものの、大きな異常はない。時折牡丹に向けられる嫉妬に駆られた目線は、どうやら鈍感らしい本人の視界には入っていないようなので、見て見ぬ振りを決め込む。
というより、この程度の嫉妬や悪意に打ち勝てないようでは、カカシの妻は務まらないと、テンゾウは思う。カカシが幸せになるなら結婚も大いに結構だが、巨万の富と共に、危険を呼び込むようでは、果たしてこのままでいいのだろうかと悩ましい。
「仲睦まじいな」
手を繋いで旅亭に向かう夫婦を眺めながら、部下が微笑ましいという様子で言った。仲が良いのは確かに良いことだ。そのはずだ。しかし不満な感想が尻尾を見せる。
「デートの度に駆り出されるのは、御免だよ」
素直な不服に、部下が噴き出した。笑いを堪えるように肩を震わせている部下を尻目に、テンゾウは指示を飛ばす。
「大浴場で別行動だ。僕は六代目に報告、君はターゲットを頼む」