第3章 心の風景
講義の監査の合間に、牡丹はイルカからクナイの訓練を受けていた。アカデミー生のために用意された軽い物ではあるが、正直な所、牡丹の手には余っている。
「下手だな、言っちゃ悪いが。的に届いていないじゃないか」
通り掛かったテマリが苦笑している。半分程度は届いているつもりだったが、彼女にとっては、届いていないという判定らしい。
「あなたたちと比べたら、誰だって下手に見えますよ」
イルカが助け船を出すものの、向いていないのは誰の目にも明らかだ。そもそも基礎体力がなっていない。まだチャクラを練る方が、気も心もさらに体も楽ではある。
しかし、それでも牡丹はカリキュラム通りの確認作業をしてみたかった。もちろん視察の為でもあるが、それだけではない。
「なんだか、楽しいんです。子どもたちが教えてくれる事も、一緒に体を動かす事も。私がアカデミーに通っているみたいで、嬉しくて」
家で過ごしていた時より、景色はずっと鮮やかで、美しい。心持ち一つでこんなにも色に溢れていると知っていれば、もっと違った風景が見えたのかもしれない。退屈な家など、もっと早くに飛び出していれば良かった。