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第7章 アルバイト


聖堂の前でスタッフらしき人と会話をしている、シルバーのロングタキシードを着た男性がいる。
背も高く、髪も銀色の綺麗な人だ。
格好からして、花婿役だと思う。

「リエーフ!」

隣の人が声を出した。
私の手を離して花婿役らしい男性に近付いていく。
支えを失って、更に歩くのが遅くなった私の視界には抱き合って再会を喜んでいるらしい人達。

近くまで行くと、銀髪の青年が私を見た。

「今日はヨロシク。俺の花嫁サン。」

いきなり抱き締められる。
別に拒否するレベルの事ではないし、少しの驚きもあってそのままにしておいた。

この人、凄く背が高い。
ヒール履いた私より頭一つ分近く差がある。
黒尾さんだって大きいのに、見ただけでこっちの方が大きいと分かる程だ。

「人の女に手を出さないでくれるかな、リエーフ。」
「えー。黒尾さんのカノジョっすか?」

私からリエーフさんを離して黒尾さんは威嚇するような顔をしている。

「いや、彼女‘役’です。ブライダルフェアを見に来ていたので。」
「黒尾さん、結婚するんすか?」

否定をした筈なのに話が噛み合っていない。
この、一から説明しなきゃダメな感じは面倒で嫌だ。

「それ、私の親戚だよ。今回は私のこっちでの最後の仕事だから見て貰いたくって、彼氏いないみたいだからクロとカップルの‘フリ’してもらってるの。」

私が嫌がっているのに気付いたのか近くにいたきとりちゃんが説明した。
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