第39章 HAPPY WEDDING
その後に執り行われた結婚式という名の儀式は滞りなく進み。
披露宴でも、大した事件は起こらず…。
いや、起こったか。
余興を木兎さんに頼んでいたから、寄せ書きをしたバレーボールが高砂に向かって突っ込んできたんだった。
その上、アルコールが入った状態で思い切りジャンプして、フルスイングした木兎さんのスーツが破けたんだ。
まぁ、この辺は木兎さんに頼んだ私達が悪い。
そう思って諦める事にした。
女友達が皆無の私にはブーケを渡す相手なんか、1人しかおらず。
妹の結婚式でやられて、自分は嫌だった演出をきとりちゃん相手に使った。
そこで、つい。
「赤葦さんと、お幸せに。」
なんて、本音が出たものだから、木兎さんと月島くんにも知られる事になり。
一部だけが、とても騒がしくなっていた。
そして、披露宴が終わる。
重たくて苦しいドレスから解放されて、身軽になった。
会場になったホテルから出て、2人で向かった先は役所。
ここで、届けを提出したら本日の日程は完全に終了だ。
流石はお役所仕事で、呆気なく受理されて感動も何もあったもんじゃない。
この瞬間まで、式も披露宴も、やると言ったからやっただけの状態だったのに。
こんなにもすぐに、やって良かったと思えるようになるなんて、考えもしていなかった。
あんなにも強引に、自分の職場の所為にしてでも、挙げてくれたのは、最初から私の為だったのかも知れない。
「鉄朗さん、有難う。」
そっと、手を取る。
お礼の意味を察したのか、握り返された手。
私は、自分の本当の家族を手に入れたのだと、ここまできて、やっと、実感した。
‐end.‐