第7章 アルバイト
狡い。
私が無職で、少しでも稼ぎたいの分かって言ってる。
まぁ、ここまで来たらいくら言おうと聞かないだろう事も分かっている。
諦め半分に息を吐いた。
「りら、服脱いで。下着も上は外して。これ着けて。」
矯正用の下着?肌着?を投げられて、聞こえてきた言葉に耳を疑った。
まだ、黒尾さんがいるんですけど。
「…俺、外出るわ。」
気付いてくれたのか、黒尾さんが声を掛けて出ていってくれたので、指示された通り服を脱いで下着を着ける。
「はい、この真ん中に立って。」
私が脱いでいる間に用意された白い布の中央部分に空いた穴に立った。
すっと、布を上げられて背中のファスナーが閉まる。袖はないようで、胸元から肩は空いていた。
「よし!ピッタリ。後はメイクね。」
着せられたのは、よく見る下がフワフワとしたプリンセスラインのウェディングドレス。
姿見の鏡で自分を眺めていると、きとりちゃんは出ていった。
すぐに戻ってきたきとりちゃんと一緒に入ってきた人にされるがまま、化粧やヘアメイクをされて、ティアラとベールを被せられる。
「彼氏さん。入ってオッケーですよ。」
全てが終わったメイクさんが、外に声を掛けてそのまま出ていった。
きとりちゃんも用事があるようで、黒尾さんと入れ違いに出ていく。
完全に花嫁になった状態の私を見て、黒尾さんは何故かしゃがみこんだ。