第7章 アルバイト
私も黒尾さんも、別に行きたくもないフェアに行く事になってしまった。
他の人に知られると勘繰られて面倒が増えそうで、黙ってその日を迎えた。
「じゃ、いってきます。」
「おう!いってらー。」
「いってらっしゃい。帰りは遅くなるの?」
「晩ごはんには帰ります。それから簡単なもので良かったら作りますね。」
「やりぃ!りらちゃんの飯が今日も食える!」
「木兎さん、いつも食べてるじゃないですか。」
見送りをしてくれた木兎さんと赤葦さん。
このまま話していると時間がなくなってしまいそうなので、頭を下げて家から出た。
一緒に出ると怪しまれるから、と先に出ていた黒尾さんが駅で待っている。
急いで待ち合わせ場所に向かうと、女の子が集まっている場所があった。
「いや、俺、待ち合わせしてるから。」
「お友達でしょ?こっちも何人かいるんだから数合わせて遊び行こうよー。」
その中心の人物は、女の子よりも頭一つ分は大きくて、すぐに分かる。
向こうも、周りの女性よりは背の高い私にすぐ気付いたようだ。
逆ナンパ、されてるんだよね、アレは。
肉食系女子は苦手だから、出来れば私を巻き込まないように抜けて来て貰えないかな…。