第6章 伝える
確かに、子供ではない年齢の男女が同じベッドで寝てたとか。
疑われても仕方がないレベルの事をしたのは反省だ。
「まぁ、何もないならない、で一言で終わらせると思ったんだけど…。あんなに喋るとは思わなくてビックリした。
その調子で私達にも甘えなさい、ね。言いたい事は我慢しなくていいし、訳が分からない話になってても聞くから。」
きとりちゃんに頭をポンポンと優しく叩かれる。
さっきだって言いたいように話そうとしたら震えたし、喋る事すら出来なくなった。
だから、変わるのはとても難しい事だと分かっている。
それでも、自分に気付いてくれたこの人達を裏切りたくないと思った。
「善処します。」
「だから、お前は言い方が堅いんだって。」
頷いて答えたけど、言葉遣いが気に入らなかったらしい黒尾さんに叩かれた。
意外に痛くて頭を押さえて、視線だけを向ける。
「…あのな、痛い、とか言えよ。視線だけで抗議されても分かりマセーン。
…っとに、さっきの素直さはドコいった?」
今度は両方の頬を摘ままれて横に伸ばされた。
反抗の仕方はやっぱり分からなくて、そのまま黙っている。
すぐに分かりやすい溜め息が聞こえて、手は離れていった。