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第6章 伝える


朝、窓から差し込んだ光で目が覚める。
ぼやけた視界の中に映った人の顔に少し驚いてしまった。

自分が引きずり込んだんだよね、確か。
ガラにもなく甘えて、昔の初恋の話なんかしちゃったんだよね。

酔っていたのもあったかも知れない。
でも記憶は鮮明に残っていて、出来るなら昨日の自分を消したいくらいだ。

考えても無理な事だと分かってはいる訳で、無駄な思考を振り払うように起き上がって頭を振る。
隣の人は今日も休みだと聞いているし、起こさないよう静かに布団から出た。

時計を確認するとまだ早朝で、多分誰も起きていない。
今の内にシャワーでも浴びて、朝ごはん作って、落ち着いたらきとりちゃんと話をしなきゃ。

着替えを持って部屋から出ていった。



シャワーを済ませてリビングに入ると、昨日の宴の跡はない。
嫌味なくらい綺麗に片付けられていた。
私がやらなくたって平気だよ、と言われている気がした。

そりゃ、元々いなかった人間だし、私がいなくても片付けや食事が出来る事は分かっている。
だからって、ここまであからさまにやらなくても良いんじゃないか、と頭に来た。

キッチンに入って冷蔵庫を開ける。
そこには昨日の残り物が沢山詰め込まれていた。

これだけのおかずがあるなら、ご飯を炊くだけで充分そうだ。
米を磨いで炊飯器にセットするだけ。
やる事が少なすぎて、すぐに作業は終わってしまった。
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