第5章 添い寝
「…と、まぁ…そういう話です。ご清聴有難うございました。」
結局、木兎さんに負けて全てを話してしまった。
「木葉、探してやろうか?就職組とはちょっと疎遠になったけどな、連絡取ってるヤツもいるだろ。」
「いや、良いです。」
多分、木兎さんは完全に純粋な厚意で言っている。
「遠慮すんな!俺が会わせてやる。」
自信満々に言われても、私が会いたくない。
言っても聞き入れては貰えないと思ったので、そこは諦めた。
「木葉と会って、誤解は解け。んで、その後に付き合うとか考えりゃいーじゃん。」
「その楽観的な思考は見習えません。今、木葉さんに彼女がいたら、その人にも不愉快な思いさせます。
それに、薄汚れた体と心で綺麗な初恋を汚したくないです。」
辛いけど、それは確かに綺麗で輝いていた思い出。
だからこそ、考え方を改める事すら出来てない今の私が踏み込むのは嫌だ。
会うなら、少しでもマシな自分になってからが良い。
「汚れてねぇよ。りらちゃん、ちゃんと分かってんだろ。間違ってるって。だから、大丈夫だ。」
根拠のない自信に負けて最終的には頷いてしまった。
「それでよーし!ほら、寝るぞ!」
満足したのか、満面の笑みを浮かべる木兎さん。
この人には敵わないな、なんて思いながら目を閉じた。