第4章 告白ごっこ
戻ろうとする手を掴んで引き止める。
「本当にすみませんでした。」
自分がからかわれるのが嫌で、相手が傷付くとか考えもしない。
その上、その人がからかわれても助ける事も出来ない。
フォローしたくて引き止めたけど、結局出るのはさっきと同じ謝罪だけだった。
「あの人達の悪ノリは何時もの事だから。」
‘お前の所為だ’って怒ってくれた方が随分楽なのに。
許されてしまうと、口下手な私が返せる言葉は無くなって無言のまま手を離した。
赤葦さんは皆の所に戻っていくと、機嫌が悪そうなまま椅子に座った。
「じゃ、じゃあ。最後のツッキー、いってみよー!」
これ以上、赤葦さんを怒らせたくないのか話を戻して月島さんを立たせようとするきとりちゃん。
すでに挑発された時の勢いは萎え、一回話が脱線した事で終わったと思っていたらしい月島さんは嫌々立ち上がって私に近付いてきた。
「好きでーす。付き合って下さーい。」
ソファーに座ったままの私を見下ろして発したのは本当にやる気がないのが伺える、棒読みの言葉。
「カット!ツッキー、真面目にやって!」
「…はぁ?これでも真面目なつもりなんですケド。」
「そんな棒読みな真面目さあるか!アンタ、ただでさえデカいのに立ちっぱなしで、相手見下しながら告白すんの?」
きとりちゃんと月島さんの言い合いが始まる。
少しの間やり合ってはいたけど、月島さんは面倒になったようで、私の隣に腰を下ろした。
月島さんがじっとこちらを見ている。
先程やった赤葦さんと違って、体がくっつく程近い訳じゃなく、かといって端に座る程は離れてる訳でもない、微妙な位置。
何も言われないから、何の反応も出来ずにただ視線を合わせた。
「…そんなに見られてるとやり辛いんだけど。」
「…すみません。」
時間にして多分数秒、見つめ合っていると月島さんが困ったように眉を寄せる。
この人のは、反応の仕方が分からない。
謝って顔を逸らした。