第4章 告白ごっこ
そろそろ終了の声が掛かるだろうと、皆の方を向く。
「何でカットって言わないの?終わりでしょ。」
何故か、ただこちらをカメラを構えたまま眺めて黙っているきとりちゃん。
「いや、どこまでやったらりらが逃げるか気になって。キスくらいなら良いんだ?…それは赤葦だから?」
「ファーストキスじゃないし。」
人を試していたらしい言葉に呆れる。
それをそのまま声音に出して低い声を出した。
「アンタ、彼氏いたこと無いじゃん。いつ済ませたのよ?」
「…や、なんでもセンパイに報告してる訳じゃねぇだろ?初キス、初エッチ、一々話してたらキリないぜ?」
聞かれたくない事を聞かれて眉を寄せると、様子に気付いた黒尾さんが止めてくれた。
「まぁ確かにそうだけど。あ、でも‘赤葦だから?’には答えなかったね。図星?赤葦が好みのタイプ?」
「いや、全然。」
段々と脱線をしていく。
月島さんの番、は無くなる勢いだった。
そもそも好みとか、好みじゃないとか、見た目とか、性格とか、そんなの関係ない。
いつの間にか、そういう感情は芽生えているものだと思う。
脱線した話について考えながら隣の赤葦さんを見た。
赤葦さんもこちらを向いていて、目が合う。
「りら、全然は流石に俺でも傷付くよ。」
「すみません。」
出会ってすぐの私なんか別に好きでもないだろうし、あれくらい強めに否定しないと、からかいの的になると思っての事だった。
それで傷付けたなんて思いもせず、言われて咄嗟に謝る。
「赤葦さん、フラれちゃったんですねぇ。」
「やーい。赤葦フラれたー!」
「泣きたいなら、俺の胸貸してやろうか?」
「ほら、傷心の所悪いけど早く戻ってきて。後はツッキーだけなんだから。」
やっぱり、ネタにされた。
対象になったのは私じゃなくて赤葦さんだけど、自分の所為だと思うと申し訳ない。
「アンタ等、子どもですか。」
若干、怒っているような低い声を出して赤葦さんが立ち上がった。