• テキストサイズ

【HQ】sharing.

第4章 告白ごっこ


そろそろ終了の声が掛かるだろうと、皆の方を向く。

「何でカットって言わないの?終わりでしょ。」

何故か、ただこちらをカメラを構えたまま眺めて黙っているきとりちゃん。

「いや、どこまでやったらりらが逃げるか気になって。キスくらいなら良いんだ?…それは赤葦だから?」

「ファーストキスじゃないし。」

人を試していたらしい言葉に呆れる。
それをそのまま声音に出して低い声を出した。

「アンタ、彼氏いたこと無いじゃん。いつ済ませたのよ?」
「…や、なんでもセンパイに報告してる訳じゃねぇだろ?初キス、初エッチ、一々話してたらキリないぜ?」

聞かれたくない事を聞かれて眉を寄せると、様子に気付いた黒尾さんが止めてくれた。

「まぁ確かにそうだけど。あ、でも‘赤葦だから?’には答えなかったね。図星?赤葦が好みのタイプ?」
「いや、全然。」

段々と脱線をしていく。
月島さんの番、は無くなる勢いだった。

そもそも好みとか、好みじゃないとか、見た目とか、性格とか、そんなの関係ない。
いつの間にか、そういう感情は芽生えているものだと思う。

脱線した話について考えながら隣の赤葦さんを見た。
赤葦さんもこちらを向いていて、目が合う。

「りら、全然は流石に俺でも傷付くよ。」
「すみません。」

出会ってすぐの私なんか別に好きでもないだろうし、あれくらい強めに否定しないと、からかいの的になると思っての事だった。
それで傷付けたなんて思いもせず、言われて咄嗟に謝る。

「赤葦さん、フラれちゃったんですねぇ。」
「やーい。赤葦フラれたー!」
「泣きたいなら、俺の胸貸してやろうか?」
「ほら、傷心の所悪いけど早く戻ってきて。後はツッキーだけなんだから。」

やっぱり、ネタにされた。
対象になったのは私じゃなくて赤葦さんだけど、自分の所為だと思うと申し訳ない。

「アンタ等、子どもですか。」

若干、怒っているような低い声を出して赤葦さんが立ち上がった。
/ 577ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp