第4章 告白ごっこ
残りは赤葦さんと月島さん。
次はどちらだろう。
「えーっと。次はー、はい、赤葦!ほら、行って。」
きとりちゃんに立たされて、私の方へと背中を押された赤葦さん。
初めから乗り気じゃなかった人だし、今回は楽そうだな。
「ソファー使っても良いすか?」
赤葦さんの問いにきとりちゃんが手でオーケーのサインを出した。
皆の方を向くようにソファーを移動させて、手招きされる。
何の疑いもせずにソファーに腰を下ろした。
すぐに隣に座った赤葦さん。
足がぴったりとくっつく程に近い。
「りら、俺の下の名前分かる?」
「はい。京治さんですよね。」
「そう。これからは、そっちで呼んで?出来れば、敬称も、敬語もなしで。」
面識がなかったとはいえ、同じ高校出身の先輩にそんな事は出来ない。
首を振って拒否をした。
「…敬称とか敬語って、壁だよね。これ以上近寄らないで、って言われているような…。体はこんなに近くにいるのに、心が離れている感じがするんだ。」
そんな事言ってる赤葦さん自身、年上組の三人には敬語使ってると思うんだけど。
カットされるのが面倒で、突っ込みはしなかった。
赤葦さんの手が、ソファーと私の背中の隙間を通って腰を抱く。
もう片方の手も、更に体を近付けるように私の膝に置かれた。
「りら、俺の事は嫌い?」
「そんな事は…。」
「…良かった。」
ふっ、と顔を緩めて笑っていた。
顔が少しずつ近付いてくる。
「俺はりらが好きだよ。だから、体だけじゃなくて心も寄り添いたい。…心に壁があるなら、せめてりらに触れても良い?」
膝の上に乗せられていた手が離れて、私の口を覆う。
その手の甲にわざとらしく軽い音を立ててキスをしてきた。
「本番は二人きりの時に、ね。」
口から手が離れて、指先で唇を触られる。
乗り気じゃなかった癖に、先にやった二人より刺激的な事をされた気がした。