第39章 HAPPY WEDDING
‐黒尾side‐
マジか。
いくら、家族みたいなモンっつったって、流石に友人枠のやつ、ここには連れて来ないだろ。
昨日、あの後、何があった?
センパイの横に立つ男、赤葦を何度も瞬きしながら見ていた。
「黒尾さん。どうしました?」
淡々と、相変わらずの無表情で唇だけ動くもんだから、何も読めやしない。
「赤葦クン?普通、友人は控え室まで入って来ないんじゃねぇかな?それとも、そんなに早くりらの晴れ姿が見たかったのカナ?」
「それもありますけど。きとりさんの付き添いと言った方が正しいですね。」
探りを入れてみるが、それも飄々として返されて。
「まさか黒尾さん、気付いて無かったんですか。」
更に、馬鹿にしたような事を言ってきやがった。
意味が分からず、眉を寄せて警戒を露にする。
「アンタ等が婚約してすぐの頃から、俺達付き合ってるんスけど。」
「ちょっと、赤葦。今日は主役が違うの!報告はまた今度って約束でしょ?」
あっさりと、赤葦の口から出た答えには疑いの気持ちしかない。
センパイと、口裏を合わせているだけに見えたが、親戚が揃うこの場所でトラブルを起こす訳にはいかない。
「…それ、本当なの。」
しかも、明らかにりらが安堵の表情を浮かべて、信じる姿勢を示したから、尚の事だ。
2人が、何を企んでいるか知らねぇが、新婚生活に支障をきたさないかが、心配になった。