第39章 HAPPY WEDDING
当日の朝がやってくる。
真っ白なウェディングドレスを着て、人に化粧をして貰って控え室に入った。
そこには、両家の親戚が来ていたりして、口々にお祝いを言われる。
先に控え室に入って、親戚と話をしていた鉄朗さんを見付けて近付くと、気配に気付いたのか振り返った。
…で、固まった。
そんなに、変な格好してるんだろうか。
「綺麗だな。流石は俺の嫁。」
「嫁は、自分の配偶者に使う言葉では無いのでは?」
「ソコ突っ込むなよ。」
ただ、珍しい格好に気を取られていただけのようだ。
普段通りの会話の流れが出来て、気持ちが落ち着いてきたけど。
その、普段通りならば、とっくに話し掛けて来そうな人の声がしなくて、辺りを見回す。
「センパイ、飲み過ぎたみてぇだからな。遅刻寸前で、慌ててんじゃね?…待とうぜ、な?」
横から優しい声が落ちてきた。
それでも、不安は拭いきれない。
私が、いなければ、この日に鉄朗さんの隣に居たのは、きとりちゃんだったかも知れない。
本当は、私達のお祝いなんかしたくないんじゃないか。
心の端にあった罪悪感の芽が顔を出した時だった。
控え室の扉が開いて、その人が顔を出す。
横には、有り得ない人物を連れていた。