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第39章 HAPPY WEDDING


‐きとりside‐

これは、儀式のようなものだ。
私が、諦める為の儀式。

どうしても、明日は笑ってやらなきゃならないから。

クロとりらが、結婚式の話をしているのが、羨ましくて、ぶっ壊してやりたいって何回も思った。
最初は、年下のイトコ達がどんどん結婚していく事への焦りだと思ってた。

だけど。

衣装選びで、タキシードを試着したクロを見た瞬間、私が隣に立ちたかったのだと、気付いてしまった。

私が、りらに対して向けていたのは、羨望でも、焦りからくる怒りでもない。
本気の、女の嫉妬。

それでもやっぱり、りらだって、大事な人には変わり無くて。
私は、それを外に出さず、笑い続ける事を選んだ。

今だって、並んで座る2人が目を合わせる度に、至近距離で会話をする度に、辛い。
仲の良い2人を眺めて、たまにからかって、2人を認めようと努力しているのに、気持ちがついていかない。

明日は笑って、心からの‘おめでとう’を言いたいのに、苦しくて出来そうに無かった。

「…きとりさん、飲み過ぎじゃないですか。」

2人を見ていられなくて下を向いた瞬間、掛かった声。
介抱してくれる気なのか、赤葦の腕が背中に回ってくる。

「一緒に、抜けませんか?」

耳元で、低く、熱い声が響いた。

横目で見た赤葦の瞳は、暗く沈んでいる。

何を考えて、私を誘っているのか分かって。
私はソレにノる事にした。
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