• テキストサイズ

【HQ】sharing.

第38章 キスという手段


私は今、宮城県にある月島邸にて、彼氏様の荷造りをしております。
蛍の勤め先は東京に本社があるようで、そっちに転勤が決まったからだ。

『東京に転勤が決まったカラ。そっちで家、探しておいて。』

数ヶ月前、電話で相変わらず私の都合お構い無しに押し付けられて。
当分はきとりちゃんの家で暮らせば良い、なんて意見は却下され。
本人は内覧すらしていない家を契約した。

それを報告する電話をした時に…。

『じゃ、そこ宛に荷物送るから、荷解きしといてよ。あ、それなら荷造りからやって貰った方が早いね。』

こんな事を言ってきたのだ。
これが、月島蛍という私の彼氏様らしい行動。
だから、何を言っても無駄なのは察して、交通費負担を条件に了解した。

それで、宮城県に来た訳だけど…。

駅に着いた途端に掛かってきた電話は、忙しいから迎えに行けない、だの。
家に着いたら着いたで、早く手伝え、だの。

前に来た時にお世話になったお礼も出来ていなかったお母さんと挨拶をする間もなく部屋に押し込まれて。
本人は送別会とやらで不在の部屋を片付けているという、現状に至っている。

別に私自身、人の世話を焼くのは嫌いじゃないし。
頼まれた事を了解したなら、やり遂げないと気が済まない性分だから構わない。

だけど、全部を人任せにする末っ子根性丸出しなのは、如何なものかとは思っていた。
/ 577ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp