第37章 約束
京治との約束。
守るのは、難しい事じゃない。
京治の執着に焦がされている限り、私からは離れる気が無いのだから。
これで、心置き無くきとりちゃんを待てる。
その報告をしようと、電話を掛けた。
だけど、出なかった。
仕事の都合もあるだろうし、折り返しを待つ事にした。
「誰に電話してたの?」
「きとりちゃん。」
「何で?」
「ずっと待ってるって、伝えたい。」
私の行動に、京治が目敏く気付いて眉を寄せている。
隠す事じゃないから、正直に答えると眉間の皺が深くなった。
「きとりさん、怒ると思うよ。」
「何で。」
意味が分からず問い掛けても答えは無くて、溜め息だけが返る。
怒られるどころか、喜ばれる事だと思っていたのに、京治にそんな反応をされると不安になった。
折り返し掛かってきた電話では、用件を切り出す事が出来ない。
電話で無言なんて最悪の事態かと思っていたけど、どうやらきとりちゃんの方も用事があったようで。
その内容は、今の私にはとても嬉しいものだった。
すぐに、私の方の用件を聞き返されたけど、ずっと待ってると、言わなくてよくなってしまっている。
代わりに報告がてら、きとりちゃんが戻ってきてからプロポーズを受けると話した。
そうしたら、まさかの大激怒。
ムキになって言い返している内に電話が切れた。