第3章 歓迎会
‐きとりside‐
あぁ、やっぱり。
赤葦、アンタ何か知ってるでしょ?
アンタが、簡単に膝に座らせたのも変だと思ったけど。
この場面で、あのコを庇うみたいに連れ出すなんて。
後から私達が文句言いそうな事を進んでやる訳ないもんね?
「赤葦って、後が面倒臭いコトやらないタイプよね?今、りらを連れていったら、私達がギャーギャー言うのくらい分かりそうなものなんだけど。」
確認のように、問い掛けた。
「…あー…。赤葦、多分だけどりらちゃんのコト、知ってるぞ。」
「…だな。月島が一緒に行ったのが予想外で、ホントはりらと2人きりになりたかったんじゃね?」
後輩の事を、意外によく見てるんだな、コイツ等。
頼れる先輩だなんて、羨ましいわ。
「知らないフリしてるから、気付かない顔しておいてあげた方が良い…かな。」
そこで、その話は終わらせた。
「あー、でも。赤葦もスマートだよねー。あんな、さらっと連れ出してさー。モテるんだろーなー。」
話を続けたつもりじゃなく、切り換えるように明るい声を出した。
「赤葦みてぇな無愛想より、俺のが口説くのは上手いぜ?」
「俺の方がモテるしな!」
2人とも、わざとらしい明るい声の意味は分かったようで、話にノってきた。
「じゃ、どっちが口説き上手か比べてみれば?」
ふざけたノリで返して、3人が戻るまでの暇潰しを始めた。