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第36章 特別な存在


口からは返事より先に疑問が出ていた。

昨日知ったばかりで、こんな花束が用意出来るんだろうか。
やっぱり、黒尾さんがきとりちゃんに協力させたんじゃないだろうか。
そんな疑いを持っている。

元カノを、プロポーズする為のダシにするなんて。
人の気持ちを考えないような事をする人なら、私には無理だ。
お付き合い継続すら、考えてしまうレベルの事だ。

「…俺な、センパイが帰ってきた頃から、りらにプロポーズしようとしてたんだよ。
…なのに、気まずいのか何なのか、お前があんま2人きりになってくんなかっただろ?」

何を言われても、きとりちゃんを利用した言い訳にしか聞こえない。

だって、本当に言いたければ、プロポーズしたければ、私の部屋に来た時とかは2人きりだった訳だし。
わざわざ、きとりちゃんを使ってまで、こんな演出する意味が分からない。

「俺、格好つけたい年頃なんだよ。ちゃんと、こういう場所で、思い出に残るようなプロポーズしたかったワケ。そこで、昨日のセンパイからの電話だ。こりゃ、使うしかねぇって思うだろ?」

やっぱり、私が分からない事は教えてくれたけど。
30も越えた男が何を言っているんだ。
だろ?って同意を求められても困ってしまった。
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