第3章 歓迎会
撮りたい絡みを終えたのか、きとりちゃんがこちらを向く。
嫌な予感がして肩が跳ねた。
「ツッキー、木兎とは嫌でもりら達となら絡める?そっちの三人も撮りたいなぁ。皆の思い出が欲しいもの。」
その言葉は最強だ。
絡みを嫌がっていた月島さんも諦めたように息を吐いた。
「じゃあ、ツッキー立って。りらの顔に片手添えて、顔近付けて。
赤葦は取り合えず、そのまま逃げないように捕まえておいてね。」
指示を聞いて赤葦さんの腕に力が籠ったのを感じる。
お腹を締め付けられて少し苦しい。
腹の方に気を取られていると、頬に触れる暖かい感触。
目の前を見ると吐息が掛かるような近さに月島さんの顔。
「赤葦、りらの肩に顎乗せてー。皆こっち向いてー。」
左に月島さん、右には赤葦さん。
数センチもない至近距離に美形の男が二人。
「さっさと済ませた方が楽デショ。」
カメラの方を向かない私の頬に添えた手で強引に顔の方向転換をさせられた。
「うわ、美男美女。…でも表情ねぇなぁー。」
きとりちゃんの横で、こちらを見ながら笑ったのは黒尾さんだった。
「うん。確かに。まぁ良いけど。」
その言葉に頷きながらシャッターを切っている。
しかも連写だ。
「はい、じゃあ次はー。」
まだ何かさせる気か。
もう付き合いたくないんだけど。