第3章 歓迎会
足は完全に床から浮いていて、お腹に回された腕を解いて貰えないと降りられない。
「自分で俺ならって言ったよね。離さないよ。」
思っていたより赤葦さんは意地が悪いようだ。
これだと、耳元で話すのもきっとわざとだろうな。
なんとかして貰おうときとりちゃんの方を見ると、鞄を漁っていた。
何をしているのか見ていると、出てきたのはデジカメ。
何の断りもなくこちらに向けてシャッターをきった。
「向こうに皆の写真持って行かせてね。単身だから、淋しいもの。」
そう言われてしまうと誰も断る事が出来ず、自由に写真を撮らせていた。
それがいけなかったようで、始めはただ飲んでる姿とかを撮っていたのがエスカレートし始める。
「木兎、もっとツッキーに顔寄せて!なんならキスしちゃっても良いから!」
「しませんよ。」
月島さんに冷たく言われてもお構いなしにカメラマンのように指示を出していた。
木兎さんと、黒尾さんはノリが良いようでキスしろと言われたらしていたし、キメ顔だって、きわどい絡みだって、言われたらその通りやってた。
まるでリビング全体がスタジオのようだ。
ノリの良い二人を使ってソファーや絨毯の上で絡ませている。
今は気が向こうに行っているけど、その火の粉が何時こちらにこちらに飛んでくるか分からない状態。
未だに、赤葦さんの膝の上で緊張しながらその光景を見ていた。