第33章 episode0
皆は、怒ってくれた。
1人で悩んで、相談せずに決めた事を。
わざわざ理由を作る為に、1人で台風の多い地域に行く事を。
私を心配するから怒っている。
それを分かっているから、不快な気分にはならない。
「ごめん。相談したら反対されるから、黙ってた。」
「反対すんに決まってんだろ?」
「独りが嫌いなセンパイが、わざわざ単身で遠く行く必要ねぇだろ?」
「きとりさん、今でも台風のニュースには敏感なのに何を考えてるんですか?」
「台風が来たって、離島までは追い掛けませんよ。」
口々に言われる事を、全部分かった上で私は決めたんだ。
「本当にごめん。」
私には謝るしか出来ない。
「センパイが、そこまでする必要あんのかよ?」
「ソイツ、親だっているだろ?頼ってきすらしねーのに、自分ギセーにしてまでやる理由…話せよ。」
「僕等にとっても他人事じゃありませんしね。」
「…俺達は、知る権利あると思いますよ。」
そこまでする理由はある。
だけど、話したらきっと私から皆が離れていってしまう。
でも、話さなければ、りらに敵意を剥き出しにしそうだ。
コイツ等にとって、私は大切な人間なんだな、と改めて思って。
話しても、私を大切にしてくれる事を期待して。
話をする事にした。