第33章 episode0
あんなに望んでいた職場に勤められたのに自分から辞める訳がない。
何かがあったのは、すぐに分かったけどメールすら返信がない状態ではどうする事も出来ない。
1人で色々と考えて、モヤモヤした気持ちでいると一緒に暮らす人には伝わってしまったようで。
家族会議、の流れになった。
と、いってもいるのはクロと赤葦だけなんだけど。
「…で、センパイ。何があったんだよ。」
「何もない。」
「分かりやすいんですよ。最近、イライラしてませんか?」
誤魔化そうとしても、はいそうですか、なんてなる筈のない2人組。
観念して、親戚と連絡が取れない事だけを話した。
「あぁ、りらか。センパイ、最近その名前よく出してたよな。悩みの種?」
「まぁ、連絡が取れないのは心配かな。
他の悩みといえば、木兎が食べたり飲んだりしたものを片付けないとか、光熱費を滞納するとか…だね。」
「ソレは赤葦に相談しとけ。」
「俺は木兎さんの保護者じゃないっスよ。」
「赤葦、梟谷のお母さん、じゃね?」
「あんな大きな子ども産んだ覚えはありません。」
クロ達に相談しても仕方がない事だから別の話に切り替えて、無かった事にしようとした。