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第33章 episode0


それから少し口喧嘩みたいな事をして。
私は意地になって、どうせ濡れてるから、なんて傘も受け取らずに帰る。
険悪な状態の筈なのに、ツッキーも一歩分くらい後ろを歩いて、一緒に帰ってくれた。

家に着くと、鍵が開いていて、隣の男の閉め忘れを疑う。
だけど、それは違った。

玄関に、ずぶ濡れの木兎がいたから、すぐに分かる。

「きとりちゃん!どこ行ってたんだよ!」

怒ったような声を出している木兎。
無遠慮に私を抱き締めてきた。

「ツッキーがいきなし電話切るから、なんかあったんだと思って帰ってきたら、靴ねーし!」

耳元で喋る涙声で、本気で心配してくれた事が分かる。
走って帰ってきたんだろうか。
濡れている体が熱い。

「心配掛けて、ごめん。」

素直に謝って、抱き締め返した。

数分経って、やっと離してくれた木兎と私は、濡れたままで。

私が抱き着いたから少しは濡れているけど、一番無事なツッキーにタオルを取ってきて貰って家にあがった。
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