第3章 歓迎会
あまり体重が掛からないように気を遣って、爪先で少し腰を浮かせる。
それもすぐに気付かれてお腹に腕が回ってきた。
「ちゃんと座らないと、バランス崩すよ。これでも鍛えてるから大丈夫。」
後ろから半ば抱き締められるような状態で、完全に赤葦さんの上に座ってしまった。
私の肩越しに喋る赤葦さんの吐息がくすぐったくて首を竦める。
「イチャイチャするなら部屋でやれよ。聞き耳立てるけどー。」
「「黒尾さん。」」
からかってきた黒尾さんに二人同時に目を向けた。
「…お前らの眼力は威力あるから止めてくれ。」
黒尾さんは降参を示して両手を上げた。
こちらが話をしている間に、木兎さんは酔い始めて月島さんに絡んでいる。
「昨日と同じパターンになりそうですね。」
昨夜の光景と変わらぬ状態に息を吐いた。
「大丈夫だよ。月島、今日は飲まされてないから。昨日は寝不足だったみたいだし。」
答えてくれたのは赤葦さん。
返答は有難いけど、耳元で喋るのは止めて頂きたい。
「あの、やっぱり私は床でいいです。降ろして貰えますか?」
平然とした顔をしていたって恥ずかしいものは恥ずかしい。
くすぐったいのもあるけど、それが一番の理由だ。