第33章 episode0
‐赤葦side‐
この人の言う、縁というものを、俺は偶然と考えていた。
彼女の親戚が、黒尾さんと同じ学校に通っていた偶然。
性別は違えど、バレーボールをやっていて2人が知り合いだったのも偶然。
合同合宿なんてものがあって、木兎さんと黒尾さんが友人だったのも。
同じ大学に進学した事も。
木兎さんと俺が、先輩後輩であるのも。
俺が、彼女に…熊野りらに惹かれたのも。
だから、その偶然を利用して必然を作らなければ、彼女と出会う事は出来ないと思い込んでいた。
でも、もっと簡単な出会い方はあった。
彼女の父親と俺は知り合いなんだから。
その道じゃなく、こっちの道を選んだのは間違いなく俺自身の判断だ。
それも、作られた必然じゃなくて縁として考えるなら…。
「…良いと思いますよ。家族の輪、作りましょう。」
いつか、この輪に彼女が加わる事を願って、言葉を返した。
俺は、この家族ごっこにノる事にする。
縁があれば、わざわざ必然を作らなくても、きっと出会える筈だから。
こんな、不確定なものに頼ってみても面白いかもしれないと思えた。