第33章 episode0
私は、人を大切にする事が出来なくて、一度は友人を失っているから。
もう失いたくない。
それだけだ。
でも、出会って数ヶ月の赤葦に言うには重すぎる。
じゃあ、どう答えたら良いんだろうか。
家族の輪が欲しい。
だから、この家に暮らす家族を大切にしたい。
そんな事を考えている私の口から漏れていた声。
赤葦は意味が分からない顔をしている。
少し漏れたなら仕方ない。
上手く説明出来るか分からないけど、思ったまま言ってみようか。
「クロと私が始めたの。家族ごっこってヤツ。でも、2人じゃ家族の輪ってないよね。線、だもの。」
「…はぁ。」
「そこに木兎が入って、3角になって。今は赤葦もいるから4角。多角形って数が増えれば増える程、円に近付くでしょ?」
「まぁ、そうですね。」
我ながら意味の分からない事を言っている気はする。
だけど、赤葦はちゃんと聞いてくれている。
「円を、縁にしたいの。マルの意味じゃなくて、エニシの方の。簡単には切れない、縁で繋がった‘家族’を作りたい。この家に住んでくれている限りは、家族みたいに過ごしていたい。
だから、赤葦も大切な‘家族’として扱ってる…じゃ、答えにならないかな。」
それを聞いた赤葦は、はっとしたように少し目を大きく開いていた。