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第33章 episode0


そこまで質問を続けていた私が止まってしまったのを、赤葦は眺めている。
考えが読めない、相変わらずの無表情で。

「…確かにその頃は、色々ありました。梟谷の制服を着ているだけで、わざとらしく聞こえる声で陰口言われたりとか。」

完全に言葉が止まった私の耳に、淡々とした声が入ってくる。
それは、私が聞きたかった答えをくれる気がした。

「でも、ノった人間も、止めなかった人間も、悪いんだと思っています。勿論、そんな大事になるまで放置した学園自体も。」

声は変わらず落ち着いていて。
でも、表情は少しだけ柔らかくなったような気がする。

まるで、愛しいものの事を話しているような。
そんな顔。

「俺自身も、動画が流出するまでは対岸の火事と思っていましたから、同罪です。首謀者である、イジメられたフリをした彼女1人だけが悪いって事はない。
だから、多少の被害は受けても仕方がない事なんです。」

はっきりと断言してくれたお陰で、怖かった気持ちは消えた。

「…なんで、聞きたい事が分かったの?」
「そんな事を聞くなら、辛かったんじゃないか、とか、その手の話かと思いましたから。梟谷出身というと、大体は聞かれますし。」
「…そっか。」

つい、1年前の出来事。
高校の名前を聞けば思い出す人もいる。
赤葦は、この質問に慣れていただけだった。
あの表情も、下手に同情されない為のものだろう。
現に私は、柔らかい顔でそう言われて安心出来たのだから。
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